法とコンピュータ学会

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理事長挨拶

 ここ数年来、大きな法改正が続いている。

 明治時代における西洋法の継受、第二次大戦後の民主化に次いで、第三の立法時代と評する見解もみられる。確かに、明治時代に日本が模範としたフランス民法が制定されたのは、1804年であり、その後の社会の変化は極めて大きいと言わなければならない。

 特に、科学技術の発達は顕著である。

 コンピュータや通信技術の発達も同様であり、20年前あるいは10年前に今日の社会の姿をだれが予想できたであろうかとさえ思うものである。そのような、科学技術の発達が社会を変化させており、その結果、さまざまな法改正において、1つの主要な要因となっていることを指摘することができる。近時における著作権法の改正は、コンピュータ、通信・放送などの分野における技術の発達によって、既存の制度では十分に適応できないことから生じている矛盾を解決することを目的としていることが少なくない。

 2005年に行われた民法の現代語化においても、実態に合わなくなった用語が置き換えられただけでなく、保証契約は書面でなければならないとしたが、明文の規定によって、「保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものと」みなしていることは、このような科学技術の発達が法に与えるインパクト象徴しているように思われる。

これからも、立法活動はさらに活発になるように思われる。

 法とコンピュータ学会においては、このような科学技術の発達が法に与えるインパクトと向き合いながら、法と社会のあるべき姿を主な検討テーマとしてきた。今後もこのような立法の動向を視野に入れた研究活動を進めていきたいと考えている。

法とコンピュータ学会理事長 野村豊弘

               

(「法とコンピュータNo.24(July 2006)」巻頭言からの抜粋)

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